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水分測定

水分(露点)測定 サンプリングのヒント, MIL21-02

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水分測定 サンプリングのヒント
Application Note: MIL21-02

露点温度(水分含含量)の測定は、とても複雑な課題ではありますが難しいことではありません。
間違った測定手法は、正確な計測の妨げとなるため様々な問題の原因になる可能性があります。そのため正しいサンプリング技術は、正確で信頼性の高い計測結果を得るために非常に重要です。
 
今回は、一般的な測定環境におけるよくある間違い、問題の原因およびそれらを回避する方法についてご紹介します。

 

正しい測定とは?


正しい測定を行うには、トレーサビリティもった基準器で校正された測定器(分析器)を使用して下さい。
(*トレーサビリティを持った校正については、こちらのページをご参照ください。)
 
測定結果は、様々な外的因子の影響を受け変化します。外的因子の影響を受けた測定値を信頼して、システムを運用すると重大な事故や品質の低下、運用コストアップの一因になります。
正しい測定値を得るためには、可能な限りの不安要素をサンプリングから取り除く必要があります。

 

サンプリングのヒント(サンプルガス)

余分な粒子物質や油を取り除く

高速で流れるサンプルガスは、粉塵の摩擦によるセンサーエレメント(感知素子)に損傷を与える可能性があります。同様に、低流速であっても粉塵や油分がセンサーエレメント(感知素子)を塞ぐ事により、応答(反応)速度が遅くなる可能性があります。
サンプリングガス中に劣化した吸着材、配管中の沈殿物や錆びの混入が見込まれる場合、粉塵用インラインフィルターを使用して取り除いてください。

サンプル温度

サンプリングガス温度と露点温度の差を考慮してください。(露点温度は、温度の影響を受けます。)
露点測定値は、高温や極低温のサンプルガスは温度特性を受ける可能性が有り、これを「温度依存」といいます。その測定変化率は、測定原理やセンサーエレメント(感知素子)材質にもよりますが、低露点域(-120~-70℃dp)での影響がかなり大きく注意が必要です。
測定器(露点計)には、温度補正機能が付属しているタイプもあります。測定の正確性を保つために、温度補正機能の有無に関わらずサンプリングガスがセンサー部を通過する前に、サンプリングに適した温度まで調整するためのサンプリングシステムを設置することをお勧めします。

温度依存の例
静電容量式露点計の温度依存性の代表例です。
温度補正回路を組み込んでいない場合の温度依存性を示したグラフです。
 

 
ミッシェル社の露点計には、温度補正機能が搭載されているモデルがあります。
温度範囲+5~+45で実際に検証し、独自の補正プログラムを使用して温度特性の影響を補正しています。
*ミッシェル社の温度補正機能の詳細については、お気軽にお問い合わせください。

サンプル圧力

高圧のサンプルガスは、センサーを物理的に破損する可能性が有ります。
高圧のサンプリングガスを測定する場合は、サンプリングガスがセンサー部を通過する前に、サンプリングに適した圧力まで調整するためのシステムを設置して下さい。
*分析器によって測定圧力は異なりますのでご注意ください。

腐食性ガス

腐食性ガスに曝されると、センサーエレメント(感知素子)に損傷を与える可能性があります。
腐食性のガスは、露点測定値に影響を与え、一般的には測定値がマイナス方向へ不良になる傾向を持っています。腐食のサンプリングガスを測定する場合は、測定原理及びセンサーエレメント(感知素子)が対応しているか十分に検討して下さい。また、サンプリングガスがセンサー部を通過する前に、サンプリングに適した状態に調整するフィルターやシステムを設置して下さい。

 

サンプリングのヒント(サンプルライン)

高品質の配管と継手を使用する

サンプル配管は、サンプルラインにかかる圧力に十分耐えるものを選んで下さい。
可能な限りステンレス鋼製の配管とフィッティングをご使用下さい。これは、特に低露点の計測のときに重要になります。なぜなら他の材質(ナイロン)等は配管の内壁で水分の吸収と吸湿を行う特性があり、応答性の遅れや、ある特定条件においては、誤計測を行う恐れもあります。仮のアプリケーションやステンレス鋼が適さない場合には、高品質のPTFE配管にすることで類似した品質を保つことが出来ます。
応答性を良くするために配管は最短で作成し、管の内径は出来る限り小さくします(内径が小さくなることで増える流量に注意して下さい)。

装置、配管材料による発散水分の違い

様々な金属の結晶構造と比較した場合、水分子はその個体構造と比べると非常に小さく、全ての配管材料は水蒸気に対して透過性を持ちます。上記のグラフは、配管の外面が周囲環境に設置された異なる材質の配管に乾燥ガス(ドライパージ)を流した時のそれぞれの配管内の露点温度の経過状態を示しています。
 
多くの配管材料はその構造と一部に、有機材料(天然または合成)、塩類(または塩含有物)、細孔を有するもの、といった水分を含んでいます。アプリケーションに適した配管材質を使用する事が非常に重要です。(可能であれば、吸湿性の材料を測定システム内で使用する事は極力控えて下さい。)
 
圧縮空気ラインの外側に作用する水蒸気圧が内側より高い場合、多孔物質媒体を介して大気中へ水蒸気が放出されます。この現象を、蒸散といいます。

配管材の表面仕上げ

部材については、きれいな機械加工仕上げは常に求められます。機械研磨よりも電解c研磨のほうが通常優れています。プロセスやサンプルシステムで使用する部材の仕上げに選択の余地があるなら出来るだけなめらか(スムーズ)なものをお選び下さい。

配管直径

サンプリングのパイプ内径が大きければ大きいほどガスは、パイプ内壁にさらされます。先に記述した効果を最小限に抑えるために配管の内径は出来るだけ小さくして下さい。ご希望の応答スピードとのバランスを考えて下さい。構成にもよりますが、6mmから1/8インチの配管を推奨します。更なる情報が必要な場合は、ミッシェル社にお問い合わせ下さい。

吸着と脱着

ガスや液体の原子、イオン、分子などがフィルム材料(固体)表面に付着し溶解する事を吸着といいます。吸着速度は、高圧力および低温度で増大します。脱着とは、材料の表面か物質が放出される現象をいいます。一定の環境条件下では、吸着物質はほぼ無限に表面に残留します。しかし、環境温度が上昇するにつれて脱着の可能性が高まります。
実用的なところでは環境温度が変化すると、水分子は試験管内部より吸着と脱着を繰り返し測定露点に微少な変化をもたらします。

サンプリングチューブの長さ

サンプルポイントは常に真の測定値を得るために、可能な限り測定ポイントの近くに設けるべきです。センサーまたは機器の配管は可能な限り短くして下さい。相互継手とバルブストラップを使用して、可能な限り単純なサンプリングシステムを構築することでシステムにドライガスをパージした時のドライダウンにかかる時間を削減する事ができます。長い配管を運用しなければならない場合、吸着と脱着の効果により明らかなように水分は配管材質に依存して蒸散してしまいます。上述したグラフで示したように、蒸散に抵抗する最良の配管材質はSUS(ステンレス鋼)とPTFEです。

閉じ込められた水分(デッドボリューム)

サンプル流路中のデッドスペース(直接のサンプル経路に含まれない領域)は、デッドスペースに蓄積された水分をゆっくりと通過するサンプルガス中に放出します。これは、測定値よりウェット状態となり応答時間の低下とドライダウンにかかる時間の遅延が予想されます。吸湿性のフィルターの材質や弁(圧力調整器、例えばゴムなど)、またはシステムにおいて水分を閉じ込めるポイントなどで予想される問題です

サンプリング環境

サンプリング環境は、測定方法に依存します。機器へ破損や応答速度と精度の低下の可能性がある液体や汚染物質への暴露を回避することが非常に重要です。
微粒子フィルターは、サンプリング中に暴露されるであろう汚れ、錆び、スケール(薄い酸化膜)などの固着物からセンサーを保護するために装着します。液体サンプルにおいては、コアレッシングフィルターを使用する必要があります。メンブレンフィルターは、コアレッシングフィルターより高価ではありますがより最適な代替フィルターです。メンブレンフィルターは、液滴を防ぎ、サンプリング液体中で大量のスケールが検出された場合に分析装置に流入するのを完全に防ぎます。

結露やリーク

結露を防止するために重要なのは、サンプル露点温度より高くサンプリングシステムの配管の温度を維持する事です。結露は、サンプルガスの正確な露点測定(水分含有量変化を測定)の妨げやサンプリングの無効につながります。結露(水滴)は、サンプリングシステムの配管内のどこかで滴下し再蒸発することにより、配管内で局所的な湿度変化を引き起こします。
 
全ての配管接続の密封性は、特に高圧下で低露点のサンプリングを行う際は極めて重量な考慮事項です。僅かなリークが高圧ラインで発生した場合、サンプリングガスの漏れだけではなく、リークポイントと大気圧以下の差圧による渦もまたサンプリングガスの汚染する事があります。

サンプリング流量

理論的なサンプル流量は測定水分量に直接影響を与えないが、実際には応答速度や測定精度に予想外の影響を与えます。最適なサンプリング流量は測定技術に応じて変化します、各状況での最適な流量の目安は計測器やセンサーマニュアルに記載されています。
 
不適切な流量の場合:

  • 吸着および脱着は、サンプルシステムを通過するガスへの影響を倍加させます。
  • サンプリングシステム内のデッドスペースに湿ったサンプルガスが滞留し徐々にサンプルガス中に放出されることにより、サンプリングの邪魔になります。
  • 逆拡散が起こることにより、汚染の機会が増加します。:外気(サンプルガスより湿潤な空気)が排気口からシステム内に逆流してしまうため。
  • 水分含有量の変化に対するセンサーの応答性(追従性)が低下します。

 
極度に高い流量の場合:

  • 背圧を導入する事により、応答時間の低下をはじめ、湿度発生装置に予測不能な問題を引き起こします。
  • 鏡面上の冷却効果により鏡面冷却式露点計の能力の低下につながります。これは、水素やヘリウムなどの熱伝導率の高いサンプリンガスなどで最も顕著です。

 

熱源から離して設置する

測定器(露点計)は、熱源、直射日光や雨風に曝されない場所に設置して下さい。可能な限り、熱源から離して設置することを推奨しています。屋外に設置する場合は、フードなどを設けてください。
測定環境が急激に変動するような場所での使用には注意が必要です。

 

アプリケーションノートを入手する

本記事のアプリケーションノートを公開しています。
下記、リンクよりダウンロード可能です。
 
ミッシェル社(英国)および露点計の詳細は、下記URLをご覧ください。

Application Note: MIL21-02 水分測定 サンプリングのヒント
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ミッシェル社紹介ページ https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/michell-instruments/
露点計・水分計 製品一覧 https://processsensing.co.jp/wp_pst/category/water_analyzer/
テクノロジー紹介 https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/technology/
水分測定のよくある質問 https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/faq/

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