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オンライン微量窒素分析計LD8000 デザインレポート

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アルゴン、ヘリウムおよび粗アルゴン中のオンライン微量窒素分析計
LD8000 デザインレポート

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産業業界において、アルゴンおよびヘリウム中の微量窒素分析の必要性は、以前から認識されています。 現在では多様なアプリ―ションに向けて異なる要望を実現するために、さまざまな機器が市場に流通しています。 最もポピュラーな用途は、エアセパレーションにおけるアルゴン製造過程です。

高純度ガスの供給および生産には優れた分析器が必要とされます。 窒素分析の場合は、厳しい要件を満たすために更に優れた機器が求められます。 僅かな漏れ(リーク)、デッドボリューム、温度変化、精度の悪さなどといった要因は、全て品質への大きな懸案事項となります。
本資料は、アルゴン、ヘリウムおよび粗アルゴン中のオンライン微量窒素分析器【LD8000】のデザイン レポートです。 本製品の優れた性能を実現する方法を説明します。 また、本製品が今日のアプリケーション 要求に対してをどのように対応し解決するかを示しています。

① LD8000構成品 プラズマ発光式検出器(PED)

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検出原理

LD8000 で採用しているプラズマ発光式検出器の原理は、分光発光セル技術に基づいています。 この技術 自体は新しい技術ではありませんが、機械的および電極の概念だけではなく周波数と強度に関しても特別な設計を用いたLDeteK社のPEDは、システムの安定化に貢献し効率的な効果をもたらします。

窒素を定量分析する発光技術として、電界発光(エレクトロルミネセンス)と呼ばれる発光現象を発生させ 分析しています。キャリアガス(アルゴンまたはヘリウム)がセル内を通過するとプラズマが発生し、窒素濃度が変動すると、スペクトル線の放出量にも変化が現れます。次に、光線はスペクトル線を識別するために光学フィルターを通過します。最後に、フォトダイオードにより光信号を電流に変換し、サンプルガス内の窒素 含有量を検出します。

この独自の設計思想によってLDeteK社【LD8000】は、アルゴンおよびヘリウム中の微量窒素分析器の 標準器として傑出した性能を発揮します。

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図1:プラズマ発光検出器(PED)の原理

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図2:光線から電流への変換

プラズマセル

通常、PEDのセルは水晶で制作されています。使用される材料は、強い紫外線透過特性を持ち、耐久性、 不活性、耐熱性を備えています。

Ldetek社のPEDは、特別なセル設計を採用し安定したプラズマを発生させることができます。 この ユニークなPED設計思想は、アルゴンまたはヘリウムと一緒に窒素が検出器内を通過した時に、ノイズの 軽減と高い感度を得るのに役立ちます。 特殊な電極形状と入口/出口のサンプルガス流路構成と組み合わせた水晶製のセル壁構造は、PEDの性能を決定づける重要なパラメーターです。

プラズマ発生器

プラズマ発生器もまた非常に重要です。 その特定の電圧、周波数、電流がセル内のグロー放電を安定に 保ちます。このような用途において、セル設計と発生器の組み合わせは非常に重要です。 LDetekは、プラズマから安定した発光を得る完璧な組み合わせを開発しました。 発生器の構成は、長期間において効率的で耐久性があることが証明されています。
発生器は、デューティサイクル制御システムにも基づき、その結果セル寿命が延長されます。 セルは特定の 周波数と周期でオン/オフされ、検出器の劣化を軽減するだけでなく、システムが希望に沿った性能を発揮できるようになります。

光学フィルターとフォトダイオード

光学フィルターは、LDetek社の独自仕様に基づき干渉、 温度ドリフト、感度の低下、および経時的な波長ドリフトが ない特性を備えたものを専用に特注しています。 波長、 サイズ、伝送線路、材料は、優れた性能を発揮するために特別な注意が必要とされる重要な特性です。

フォトダイオードは、フィルターからの光をサンプルの窒素量に 比例した電流に変換します。 LDetek社が設計した電子回路は、フォトダイオードから出力されたアナログ 信号を正確に処理します。

略述すると、LDetek社は全てのアイテムを一緒に導入して調整する独自の手法を持っています。 LDetek社は、 各ユニットが一律で高い性能で動作することを実現するために厳しい製造工程を確立しました。

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図3:プラズマディテクターモジュール

② 流量制御

分析器の流量管理は、デッドボリュームとリークの観点から非常に重要です。システムに空気の侵入やデッドレッグの発生を防ぐために流量制御器を用意して下さい。
LD8000 の検出限界は数ppbで、0-1ppmのような低検出域でも動作します。 一般的なマスフローコントローラー(MFC)は、このような分析には適していません。 MFCを使用した場合は、空気は78%の窒素を含有することからシステム内に窒素が浸入する可能性が極めて高いことが示唆されます。
LDetek社は、流量制御器からの空気の侵入を防ぐために、独自の流量制御システムを設計しました。 この装置は、25cc/minの低流量で動作し、デッドボリュームを発生させることなく高速応答を実現します。

マイクロバルブ

LDetek社は、本機器の性能要件を満たすバルブ開発に取り組んできました。 この小型バルブは、非常に小さな オリフィスサイズを備え、極低流量の測定環境においても 動作します。 LD8000は、比較的低流量でも動作可能なため、このバルブ設計において応答速度の低下やドリフトを招く恐れはありません。

標準的なバルブ(図5)は、バルブ内部のデッドボリュームを起因とした「スパイク信号」が測定値に現れます。低濃度領域における測定では、校正後またはサンプルが混乱 状態にある状況での窒素侵入は大きな問題を引き起こします。

LDetek社のマイクロバルブを使用することで、図6に 示す通り、この問題は回避され、濃度変化を受けても安定した読取値を得ることができます。
入力圧力は、読取値の変動なしで4 PSIG~30 PSIGの範囲です。LDetek社のオプションのポンプを使用した場合、さらに低い圧力で動作します。

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図4:サンプル制御のためのマイクロバルブ

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図5:標準バルブ

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図6:LDetek社製バルブ

流量変換器

流量変換器は、この種の分析装置においては最大の汚染源となり得ます。 このようなデバイス上の 問題を回避するためには、変換器は検出器の後の流路の終端に取り付け、マイクロバルブに情報を 提供することで安定した流量を制御を行います。

『なぜ検出器の後にMFC取り付けないのか? 汚染やリークの可能性を避けられるのか?』

実際には、PEDは大気圧で動作する必要があり、加圧してはいけません。PEDは、水晶製のセルであるため、排気側からの背圧により破損する可能性があります。 さらに、安定してプラズマを得るために、検出器内の圧力を一定に保つ必要があります。

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図7:LD8000の流路

③ 校正時にゼロガスの必要がない(オプション)

ゼロ校正時に純粋な基準ガスを用意する必要がありません。 LD8000 内部に、ゼロガス発生装置を追加して機器内部でゼロガスを生成するように設計されています。

サンプルガスのみを機器に接続し、ゼロ校正を実施します。 バルブシステムを使用して、検出器への流路を 変更します。 ゼロ校正中、サンプルは純アルゴンまたはヘリウムを生成するために小型のガス精製器へ 送られます。
これは、LDetek社唯一の機能です。 機器に内蔵されたガス精製器は、ゼロ校正中にのみ動作し、通常使用時はバルブシステムによって分離されているため、機器寿命に影響を与えません。 このようなシステムは、 純アルゴンの供給、ガス制御器、配管、外部精製器、精製器用バイパスバルブなどの必要がなくなることを 意味しています。 本システムによる、設備経費の削減は明らかです。

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図8:ゼロガス発生装置内蔵

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図9:ゼロガス発生装置内蔵&ストリームセレクター

④ 水分制御装置(HCD)

水分は、プラズマ中の窒素の最大の「敵」です。 まず第一に、その発光波長は窒素に非常に近いため、僅かに干渉します。 さらに、プラズマ中の利用可能なエネルギーレベルは、窒素よりも水分により多く消費されて しまいます。 その結果、窒素の発光強度の減少を引き起こし感度が損失します。

LD8000シリーズでは、水分制御装置が検出器モジュールに含まれています。 このデバイスは、窒素の測定に対して水分の影響を安定させるために、一定量の水分とその他の化学蒸気化合物を検出器に導入します。  サンプルラインの筐体外側に設置された水分トラップとの組み合わせにより、機器はサンプル内の水分量の変化に対して安定した挙動を得ます。

⑤ メンテナンス

機器のメンテナンスは、必要ありません。検出器は、筐体内の他の構成部品と同様に、非消耗タイプのデバイスです。 流量制御システムについても同様で、破損部品を交換する必要がある場合も高価な流量モジュールまたはMFCを交換する必要はなく、交換部品はマイクロバルブまたは変換器のみです。

機器の部品交換をする場合、簡単に交換作業が出来るように機器設計されています。 深刻な故障や不具合などの特別な場合を除き、機器を弊社へ返送することはありません。 検出器を含む全ての部品は、現場で 技術者による交換ができます。
LD8000の安定性と精度の最高性能を保つためには、機器外部に設置された水分トラップを毎年交換 するか再生をして下さい。

⑥ LD8000の機器性能

LD8000の設計思想は、市場要望に対して優れた性能を発揮します。
本機器をppm測定に使用した 場合においてもppb分析の安定性、精度、およびノイズレベルを得ることができます。 上記の設計に基づいて性能を示すために、様々な条件下でいくつかの試験を実施しました。 後述の性能は、市場で最も広く使用されているアルゴンサンプルの元で試験されました。

応答速度

LD8000の応答速度は高速で、さまざまな 分析アプリケーションにおいて良好な純度制御が可能です。 しかし、『良好な結果』は機器の導入状況に 常に依存します。 サンプル選択システムは、 優れた応答時間を実現するための重要な要素です。この用途向けにLDetek社が特別に設計したLDGSSを併用することを推奨します。

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図10:LD8000応答速度

ノイズ

検出器のデータ取得用の電子機器は、測定値に 影響を与えるノイズを回避するように設計されています。 しかし、最も重要なことは、検出器自体が『ノイズを可能な限り最小限に抑える設計』であることです。 フォトダイオードと光学フィルターの位置は、LD8000の性能を引き出す上で主要な点です。 これらの構成部品の応答が悪い場合、希望の測定を達成するために電子ゲインを増幅させる 必要があり、同時にノイズレベルの上昇を意味します。 検出器を取り付ける際は、LDetek社より特別な注意があります。
フォトダイオードからの信号を処理するために使用する増幅器も特別に設計されました。 この増幅器は、 範囲0〜10Vで信号を増幅するため非常に低い電圧を使用します。

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図11:アナログ出力で取得されたノイズレベル
約0.104 ppmのサンプルガスの場合

注:
この結果は、LDetek社標準方法に従ってパージされたシステムを備えたサンプル選択システムLDGSSを搭載したLDetek社試験設備内で取得されたものです。

安定性

機器の安定性は、数時間での経過について評価をしています。 温度環境が不安定な場合でも、温度変化に 対して読取値の安定性が示されています。 この温度変化は、現場ごとに異なるシステムの導入状況に依らず、機器内部で完結しています。

36時間で約4.4℃(31.6~36.0℃)の偏差を持ち、読取値は300~280ppbへ低下しました。 この 僅かな変動により4.5ppb/℃の変化が生じます。 ほとんどの設備において温度制御がなされていることを 考慮すると、温度の影響は極めて軽微であるといえます。 さらに、機器の分解能は10ppbなので、ソフトウェア上の読取値においては、僅かな温度変化も生じません。 安定性は、管理された安定した環境下で24時間毎に評価されました(図13)、観察されたドリフトは2ppb未満です。

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図12:温度経過

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図13:安定した環境での時間経過(24時間)

直線性と精度

システムの直線性には、細心の注意が払われています。 市場にある一般的な機器は0〜100ppmの全範囲に渡り完全な直線性を確保できません。 対してLDetek社は、範囲0〜100 ppmに渡り機器動作と校正が最高の性能を発揮できるように検出システムを改善しました。

図14は、LDP1000ガス精製器を通過するゼロガスと異なる濃度の同じ希釈システムを使用した場合の校正結果です。
また、機器の精度を示すために、低濃度でのステップ変化を測定しました。 図15は、10 ppbでのステップ変化が【LD8000】で簡単に検出できる ことを示しています。 この結果は、範囲0-1 ppmで高純度ガスを測定することが求められるガス生産者から高く評価されています。

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図14:0-100ppmにおける直線性

注:
この結果は、LDetek社標準方法に従ってパージされたシステムを備えたサンプル選択システムLDGSSを搭載したLDetek社試験設備内で取得されたものです。

検出限界

図11に示されたノイズを考慮した場合、測定のピークピーク値は最大3.6ppbです。 標準偏差法を用いて、最大ピークピークノイズの15回連続したポイントから標準偏差法を用いて計算した場合、標準偏差の5倍となるLDLは4.4ppbです。
本機器は、窒素レベルが100 ppb以上の濃度で使用します。 LDLは、全てエアセパレーションユニットまたはグローブボックスアプリケーションに十分な低さです。
さらに低いLDLを必要とする場合、LDetek社はppbレベルに対応した微量窒素分析器 LD8000-Plus を推奨します。信号/ノイズ比が非常に低い1 ppb未満を検出することができます。
機器の詳細は、ミッシェルジャパン株式会社へお問い合わせください。

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図15:10ppbステップ変化

注:
この結果は、LDetek社標準方法に従ってパージされたシステムを備えたサンプル選択システムLDGSSを搭載したLDetek社試験設備内で取得されたものです。

⑦ 最後に

LDetek社は、多くの課題に挑戦し乗り越えることで卓越した性能を備えたアルゴンまたはヘリウム中の微量窒素分析器を開発、製造してきました。
微量窒素測定とプラズマ発光検出器について10年以上の経験を持つ専門家とともに綿密に設計、開発を行った信頼性の高い製品を市場に提供できることを誇りに思っています。

LDetek社 オンライン窒素分析計 LD8000シリーズ のご紹介

オンライン微量窒素分析計 LD8000 


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LD8000は、アルゴン/ヘリウム/粗アルゴン中の微量窒素/酸素をモニタリングするオンライン測定器です。
19インチ・ラックマウント筐体で最適なソリューションを提供するために、さまざまな技術を搭載しています。

オンライン微量窒素分析計(PPBレベル対応)
LD8000 PLUS 


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LD8000PLUSは、高純度アルゴン/ヘリウムガス分析用に設計されました。
ガスクロマトグラフを必要とせずに、オンラインで低ppbの微量窒素の測定が可能になりました。コンパクトな筐体は、あらゆる産業用や研究開発用など、多種多様なアプリケーションに最適です。

微量窒素分析計(酸素,水分,炭化水素測定対応)
LD8000 MULTIGAS 


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LD8000 MULTIGASは、ヘリウム中の微量窒素、酸素、水分、炭化水素のモニタリングに最適なオンラインガス分析器です。
コンパクト設計の4Uユニットは、オンライン測定用のヘリウムの極低温設備要件を満たします。

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