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酸素濃度測定

工業用酸素計とは。酸素計の種類と特長を解説, MIL21-04

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工業用酸素計とは。酸素計の種類と特長を解説
Application Note: MIL21-04

「酸素」を測定(分析)する装置は、一般的に酸素計、酸素濃度計、O2計、オキシーメーターと呼ばれます。
測定環境や求められる測定範囲、精度、測定に適している測定原理、いくつかの種類に分かれています。
 
酸素とは?
酸素は、無味無臭の気体で空気中に約21%含まれています。生物の呼吸や、燃焼に不可欠で、ほとんどの元素と化合して酸化物するなど、化学的に活発な元素です。
酸素は、医療分野では吸入用酸素や室内空気品質管理、工業分野では水素やアセチレンと組み合わせた酸素アセチレン炎として金属の溶接切断用途や、工業熱処理プロセス(酸化防止)、工業炉の燃焼工程(燃焼効率や酸化還元プロセス)、製鉄所では不純物除去のために使用されます。
 
今回は、酸素計の種類と用途についてご紹介します。

 

酸素計とは?

酸素計とは、空気(ガス)中や液体に含まれる酸素濃度を測定する装置です。製品の品質維持(管理)、事故防止(火災、爆破)、製品製造プロセス、室内での酸素欠乏症防止、体調管理、生命維持、水生生物の体調管理、汚染度合いの指標用途など様々な場所で酸素濃度が管理されています。

 

酸素計の種類と用途

酸素計は大きく、3種類に分けられます。
 
気体に含まれる酸素濃度を測定する装置を、酸素濃度計。
*酸素ガスの純度度を測定(分析)する装置も酸素濃度計(酸素純度計)と呼ばれます。
液中に溶け込んだ酸素濃度を測定する装置を、溶存酸素計。
血中に溶けた酸素濃度(動脈血酸素飽和度)を測定する装置を、パルスオキシメーター。
 
ミッシェルジャパン株式会社では、空気やガス中に含まれる酸素を測定するための、工業用途向けの酸素濃度計を取り扱っています。
 
 
*「パルスオキシメーター」について
皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定する、医家向けの測定器です。指にクリップし、指先に光を当て波長を測定します。病院、クリニック、訪問看護のみならず、呼吸器疾患患者の自己管理、自己体調管理用途など、幅広い場面で使用されています。
ミッシェルジャパン株式会社では、パルスオキシメーターのお取り扱いはございません。

 

工業用酸素濃度計

工業(産業)用酸素濃度計とは、一般的に「気体中の酸素濃度を測定する酸素濃度計」と「液中に溶け込んだ酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計」を指します。

酸素濃度計 ・・・ 気体(空気やガス)中の酸素濃度を測定する
気体中の酸素濃度管理のために使用されます。
 
空間やプロセスラインの途中などに設置され、装置内に引き込まれたサンプルガスに含まれる酸素濃度を測定します。
吸入用酸素や室内空気品質管理、金属の溶接切断用途や、工業熱処理プロセス(酸化防止)、工業炉の燃焼工程(燃焼効率や酸化還元プロセス)、製鉄所では不純物除去など、幅広い分野で使用されています。代表的な分析手法は、ジルコニア式、電気化学(ガルバニ電池)式、磁気風式、光学式、レーザー分光式です。

 

溶存酸素濃度計 ・・・ 液体中に溶け込んだ酸素濃度を測定する
 
水中環境の管理のために使用されます。
養殖場、水族館などの人口的設備では、水生生物の生育を適切に管理するために使用されます。下水処理場では設備の保安管理のために、河川や湖、沼などでは環境汚染の指標としても用いられることが増えています。代表的な分析手法は、化学分析法、電気化学分析法、光化学分析法です。
ミッシェルジャパン株式会社では、溶存酸素濃度計のお取り扱いはございません。

 

測定原理と特長

現在、市場にある酸素濃度計の分析手法は大まかに6種類に分類することができます。
それぞれの測定原理には長所と短所があるので、アプリケーションや測定環境、測定対象ガス(サンプルガス)に合わせて適切な酸素濃度計を選択することが大切です。

測定原理 該当製品
①ジルコニア(濃淡電池)式 XZRシリーズ、SenzTX、Minox-i、SIL-O2、AMTrace
②電気化学(ガルバニ電池)式 GPRシリーズ、SenzTX、Minox-i、SIL-O2、AMTrace
③磁気式 XTPシリーズ *磁気風式
④光学式 Luminoxシリーズ
⑤レーザー分光式 TDLシリーズ *プロセス露点計
⑥黄燐発光式 お取り扱いはございません。

 
 

①ジルコニア(濃淡電池)式
 
酸化ジルコニウムセンサーは、固体電気化学セルの原理に基づいています。イットリア安定化酸化ジルコニウム層は、通常+600°C~+700°Cに加熱されると酸素イオンが高濃度から低濃度に流れる固体電解質(イオン導電性固体)の性質を持ちます。イオンが位相間を移動すると、内外電極間に酸素濃度比による起電力が発生し、酸素濃度を決定します。電極間の酸素濃度の差が大きいほど、生成される電圧が高くなり、100%から100万分の1未満(ppmレベル)までの測定が可能になります。
 
 
PSTグループのジルコニア式酸素センサーの種類:

  • MSRS(Metallic Sealed Reference Sensor)[ミッシェル社]
  • MIPS(Micro ion pump sensor)[SST社]
  • ミニチュア二酸化ジルコニウムセンサー[SST社]

 
ジルコニア式 酸素濃度計の測定原理の詳しい解説は、下記ページをご参照ください。
>> 【Technology】ジルコニア式 酸素濃度計の測定原理

 

ジルコニア(濃淡電池)式の長所・短所
長所 短所
高温箇所に直接取付けができる
サンプリングラインの短縮
応答速度が速い
比較的安価
消耗部品が少ない
可燃性ガスの測定に向かない

 

②電気化学(ガルバニ電池)式
 
溶存酸素濃度計の一種(電気化学分析法)で、二つの電極の材質がカソード側に銀(Ag)及びアノード側に鉛(Pb)の組み合わせで、電解液に水酸化カリウム(KOH)を用いると電池が作り出され、酸素量に応じた電流が流れます。
AII社の酸素センサーは、酸素分子の透過する隔膜に工夫があり、微量な酸素濃度でも出力を得ることが出来ます。世界でも数少ないPPBレベルの酸素濃度計測が可能です。
 
 
PSTグループの電気化(ガルバニ電池)学式酸素センサーの種類:

  • Pico-Ionセンサー[AII社]

 
電気化学(ガルバニ電池)式 酸素濃度計の測定原理の詳しい解説は、下記ページをご参照ください。
>> 【Technology】電気化学(ガルバニ電池)式 酸素濃度計の測定原理

 

電気化学(ガルバニ電池)式の長所・短所
長所 短所
センサーが小型なので携帯性に優れている
可燃性ガスの影響を受けにくい
微量酸素の測定が可能
比較的安価
セル寿命(電解液)がある
KOH(水酸化カリウム)を使用している
測定環境の影響を受けやすい

 

③磁気式
 
酸素計のシェア1/3を占める測定原理です。
酸素分子の磁性体(常磁性)を利用した原理で、磁気式は共通して磁界内で常磁性の高い酸素分子が磁化した時に生じた動き(引力)を利用して、酸素濃度を測定します。磁気式は、窒素などの磁化率の低いガスの干渉を受けにくいという特長があります。主に3種類の方式に別けられます。
 
 
 
 
 
a. 磁気風式(磁気熱) *サーモパラマグネティック技術
サーモパラマグネティック技術は、常磁性技術と熱伝導率技術を組み合わせた技術です。常磁性ガスである酸素は、磁場に引き付けられます。酸素の磁化率は、温度に反比例して増減します。サーモパラマグネティック技術を搭載した装置は、温度制御された測定チャンバーと強力な磁場を使用して、1対のサーミスタ間でプロセスガスから酸素の流れ(磁気風)を作ります。磁気風は、サーミスタから熱を受け取り、最終的に電気抵抗の変化から酸素濃度に比例する信号を取り出します。
 
b. 磁気力式(磁気圧)
酸素の常磁性を利用して、磁界内で接触したサンプルガスと補助ガス間の磁化率の差に比例した圧力差から酸素濃度を測定します。測定は、サンプルガスの圧力と流量に強く依存します。一定した補助ガス(基準ガス)と流量を均一に保つための補助設備が必要ですが、応答速度が速い特長もあります。
 
c. 磁気力式(磁気ダンベル)
磁界内に設置された、ダンベル(2連球体)がガス中の磁化した酸素の動きにより回転します。この回転率を光源からの光がダンベルの中心に設けられた反射鏡を介して光検出器で波長として受け取り、酸素濃度を測定します。磁気ダンベル式は、振動や衝撃に弱く、コンタミや腐食性ガスには向いていませんが、測定範囲が広く共存ガスの影響が受けにくい特長があります。
 
PSTグループの磁気風式酸素センサーの種類:

  • サーモパラマグネティック[ミッシェル社]

 

 

磁気式の長所・短所
長所 短所
可燃性ガスを含む混合ガスの測定が可能
腐食性ガスの測定が可能(*ダンベル式を除く)
可動部品がない(メンテナンスフリー)
装置が高価
サンプリング盤が必要
衝撃や振動に弱い(磁気ダンベル式)

 

④光学式
 
光学式は、酸素分子と有機金属化合物間の発光と消光現象に基づいています。
物質(有金属化合物)には、エネルギー変化(吸収放出)に応じて、そのエネルギーを光で放出する特性を持つものがあり、一般的に発光(ルミネッセンス)/蛍光体と呼ばれます。また、このような物質は、蛍光(F)とりん光(P)の両方の特性を示すことが多いのも特長です。
通常、このような蛍光体と酸素分子による発光は、金属から配位子への電化移動(MLCT)によって発生します。光学フィルター(シリコンマトリックスに埋め込まれた蛍光体と石英の層)に、青色LEDを照射して分子を発光(励起)させ、フォトダイオードで発光の減衰率(発光現象)を検出し酸素濃度を測定します。また、このような手法では、温度と圧力が一定でることが重要ですが、ルミノックスセンサー[SST社]は内部に補正用の温度センサーと圧力センサーを搭載しています。
 
PSTグループの光学式酸素センサーの種類:

  • ルミノックス[SST社]

 

 

光学式の長所・短所
長所 短所
真空で使用可能
圧力変化の影響を受けない
センサー寿命が長い
酸素に選択的に反応する
高露点ガスの測定に適していない
腐食性、可燃性、刺激性ガスの測定ができない

 

⑤レーザー分光式
 
レーザー分光式は、吸収分光式、近赤外波長可変半導体レーザー(TDL)式、半導体レーザー分光方式とも呼ばれます。酸素測定だけではなく、ガス分析や水分測定にも利用されている方式です。
酸素濃度測定およびガス濃度測定では、TDLレーザーによる吸収分光計測法を利用してレーザーが測定対象ガスを通過するときに吸収(損失)する光の量からガス濃度を測定します。近赤外線レーザーをサンプルガスに照射し、受光部で光の波長(強度)を検出し、ガス濃度に信号を変換します。
 
PSTグループのレーザー分光式の露点センサーの種類:

  • TDL[ミッシェル社] 露点計
    *レーザー分光式を使用した酸素濃度計のお取り扱いはございません。

 

 

レーザー分光式の長所・短所
長所 短所
高圧、高温環境下でも測定が可能
腐食性ガスおよび刺激性ガスの測定が可能
高価
測定可能レンジが狭い

 

⑥黄燐発光式
 
黄燐は、常温大気圧下で平衡すると蒸気(黄燐蒸気)を放出します。この蒸気は、酸素と反応して発光して三酸化燐になります。この過程で放出される光エネルギー(発光)の量(光量)を測定して酸素濃度を測ります。
現在は、黄燐の危険性からの作業員保護のため先進国では使用されていません。
 
黄燐は、第3危険物に区分されています。
禁水性はありませんが自然発火性と強い毒性を持ち、発火の際や特定の物質との接触で有毒ガスの発生や爆発が伴います。測定器の取り扱いには、十分に注意しなければなりません。
 
PSTグループ社の黄燐発光式の酸素濃度計のお取り扱いはございません。

 

黄燐発光式の長所・短所
長所 短所
Ppbレベルの測定が可能 危険物を搭載しているので取り扱いが難しい
測定レンジが狭い

 

微量酸素濃度計とは


まず、微量酸素濃度とはどの程度の範囲を指すのでしょうか?
最近では、超微量酸素濃度という言葉も見かけます。
 
「微量」および「超微量」という言葉に明確な答えは、まだ設けられていません。極端ですが、この範囲はアプリケーションや個人の感覚によって変わってしまいます。
 
一般的には、Trace Analysis(微量分析)と呼ばれる範囲(1~100ppm)を指して使用されることが多く、実際に市場で微量酸素濃度計として販売されている測定器の大部分はこの範囲を測定することができます。また、「ppmレベルを測定できる酸素濃度計」といった表現も用いられます。
 
ミッシェルジャパン株式会社では、下記の範囲で使い分けています。

名称 測定範囲
超微量酸素濃度計 0.1~1ppmを計測できる装置
微量酸素濃度計 1~100ppmを計測できる装置

0.1ppm以下での感度を求める場合は、ガスクロマトグラフをお勧めします。

 

アプリケーションノートを入手する

本記事のアプリケーションノートを公開しています。
下記、リンクよりダウンロード可能です。
 
ミッシェル社(英国)および酸素濃度計の詳細は、下記URLをご覧ください。

Application Note: MIL21-04 工業用酸素計とは。酸素計の種類と特長を解説
ミッシェル社紹介ページ https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/michell-instruments/
AII社紹介ページ https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/aii/
NTRON社紹介ページ https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/ntron/
SST社紹介ページ https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/sst/
酸素濃度計 製品一覧 https://processsensing.co.jp/wp_pst/category/water_analyzer/
テクノロジー紹介 https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/technology/
酸素濃度測定のよくある質問 https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/faq/

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