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食品・飲料業界での衛生・品質管理の基本的な考え方を簡単に解説

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食品・飲料業界での衛生・品質管理の基本的な考え方を簡単に解説


露点計は、重工業、各種ガス産業、石油化学、電力のみならず、食品製造および飲料製造の分野でも活躍していることは以前の記事でご紹介させていただきました。
詳しくは、こちらの記事”露点とは。露点計の種類と測定原理を簡単に解説, MIL21-05”をご参照ください。
 
さて、今回の記事では「食品・飲料業界の衛生・品質管理」について焦点を充て、最後にどこで水分測定器が活躍しているかをご紹介したいと思います。
「水分測定器」x「衛生・品質管理」、一見すると全く関わりがなさそうに感じますが、水分測定器は食品・飲料業界の衛生・品質管理工程で一翼を担う存在です。

 

なぜ衛生・品質管理が重要なのか

私たちは、お店で購入する食品や提供される料理に何を求めているのでしょうか?
 
「美味しい」「適切な価格」はもちろんのこと、「安全な環境で育成された」「衛生的な環境で製造(調理)された」「異物の混入がない」といった「食の安心安全」を私たちは食品・飲料業界に求めています。
 
 
もし、購入した製品に金属片が混入していたら?
もし、製品を食べて具合が悪くなったら?

 
 
私たちは、製造者にクレームを出し、製造責任を追求し、身体に影響が残った場合はそれ相応の責任を問うでしょう。 そうすると製造者は、長期的なイメージダウンであったり、企業の存続そのものが危ぶまれる事態になる可能性がありあます。 製造者にとって健康危害を防ぐことは何よりも重要なことです。
 
品質管理はこのようなネガティブな健康危害の一面に対処するだけではなく、「製品に対して『(安全な環境で製造されて安心かつ)美味しい』と満足したら再度購入するきっかけにもなる」といった顧客満足度に係わるポジティブな面もあります。

 

食品・飲料業界の品質管理の仕事

実際に、食品・飲料業界の品質管理にはどのような業務があるのでしょうか? 業種ごとに順守規格、検査項目および教育内容は異なりますが、業務タイトルを箇条書きにすると他の産業の品質管理とさほどかけ離れていません。
 
例えば…
  〇 管理(予防、危機)の徹底
  〇 社員教育
  〇 工場内パトロール
  〇 クレーム検査
  〇 クレーム処理
  〇 問題解決
  〇 細菌検査
  〇 理化学検査
 
この中で特長的な点は、「細菌検査」「理化学検査」です。 この検査項目は食品・飲料業界のみならず、製薬業界および化粧品業界でも実施されています。
フルーツジュース、清涼飲料水、タブレット菓子、ドライフルーツ、加工食品、焼き菓子、乾麺、チョコレート、粉類、茶葉などにより、生産ラインや検査項目で管理するポイントは異なります。 珈琲豆を例とすると、焙煎時の温度湿度管理の差異により風味や味の低下、器械故障による金属片の混入リスク、細菌の繁殖やカビの発生リスクなどを管理します。
 
食品・飲料業界で品質管理を実施する上で重要なキワードは「HACCP」です。

 

食品・飲料業界の品質管理で目にする「HACCCP」とは

HACCP(ハサップ):Hazard Analysis Critical Control Point
 
HACCPとは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同機関であるCodex(国際食品規格)委員会から発表された国際的な食品衛生管理規格です。 始まりは1960年代のアメリカで宇宙食の安全性を確保する目的で開発された宇宙食(食品)の衛生管理を行うために作成された方式です。
 
食品の異物混入や食中毒菌の増殖といった危害要因を取り除き、食の安全を守るための衛生管理手法で、HACCPプラン(衛生管理計画)を作成し、それに沿った管理を行うことで安全を確保します。 製造工程の段階から衛生管理をすることでより効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことができ、トラブルが発生した場合の原因の追求および対処がしやすいといったメリットがあります。
日本でもHACCPは2018年の食品衛生法の改正にともない、すべての食品等事業者に対し、HACCPに基づく品質管理が義務化されました。
※厚生労働省リンク:HACCPに沿った衛生管理の制度化

 

HACCP方式と従来の品質管理の違い

従来の食品衛生管理 ‥‥ 抜き取り検査
完成品から一定のサンプルを抜き取って検査する方式が主流でした。この検査方式は、サンプル取得時に正常なサンプルが抜き取られ場合に衛生管理上の問題が見過ごされる恐れがあります。
根本的に取得サンプルの偏りが発生するという問題を抱えています。
 
 
 
 
HACCP対応の衛生管理
食品の仕入から出荷まで全行程の管理し、品質管理体制を監視します。各工程で重点的な安全対策が必要なポイントを「重要管理点(CCP)」といい、HACCPではCCPを対象として重点的に衛生管理に取り組み、食品製造のリスクを徹底的に管理するのが特徴です。 HACCP方式による管理は、事前に危害要因を洗い出し管理する事で、製造工程上の安全性を担保します。
 
 
 

 

HACCP方式のメリット

HACCP方式に基づいた衛生管理を導入するメリットは、例えば以下のようなものがあります。
 
消費者のメリット
  〇 第三者機関の認証を受けた環境で製品が生産されている
  〇 第三者機関により製品の品質が厳しく管理、維持されていることが保証されている
  〇 不良品が発生した時の対応が素早い(購入するリスクも低くなる)
  〇 第三社機関の立場から業務の効率化や課題が洗い出され、品質が向上する
 
製造者のメリット
  〇 食品事故の発生リスクを減らし、社会的な信用が高まる
  〇 日常的にHACCP方式を意識することで、社員の衛生管理意識が高められる
  〇 食品事故が発生した場合に、問題の洗い出しおよび原因解決が速やかに行える
  〇 継続的な改善作業による企業価値の向上や明文化による業務継承の円滑化
 
 
HACCP認証とは第三者機関の認証を受けていることを意味します。
第三者機関の認証を受けることで更に以下のメリットが考えられます。
  〇 取引先や消費者から一層高い信頼を得ることができる
  〇 自社だけでは気づかなかった課題が明確になり、一層の改善が進む
  〇 HACCP認証が条件となっている企業との取引および国への輸出が可能になる

 

HACCPの義務化

2020年6月に改正食品衛生法が施行され、HACCP義務化がスタートしました。
HACCP義務化に備えた事業者の準備期間として1年間の猶予期間が設けられ、施行日から1年間の猶予期間が経過した2021年6月にHACCP義務化の期限を迎えました。

 

HACCPの義務化に違反した場合の罰則

2021年6月1日から改正食品衛生法が完全施行されました。 義務を履行しなかった場合、HACCP義務化に従わなかった場合はどうなるのでしょう?
HACCPに沿った衛生管理の制度化に掛わる改正食品衛生法には罰則が記載されていませんが、次の条文が含まれています。
 
第50条の3(第52条) ③
「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第1項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。」

 
参考:改正後の食品衛生法(器具容器包装部分の抜粋)第50条の3(第52条)
※厚生労働省リンク:食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会
※厚生労働省リンク:品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会
※厚生労働省リンク:改正食品衛生法について
 
 
義務化に違反した場合は、各都道府県の判断で罰則規定を条例として定められます。 地方自治法14条第3項の規定より条例により課せられる罰則は、2年以下の懲役・禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収(以上刑罰)、5万円以下の過料に制限されています。 もしくは、自治体で発行されるような許可証が更新できないといった罰則が課される可能性があります。
仙台市リンク:地方公共団体が条例で定める罰則規定について

 

HACCP認証団体の種類

HACCP方式による管理と義務化に従うには、第三者機関より『HACCP認証』を受けるのが一般的です。
(※HACCP認証の取得は義務ではありません、あくまでHACCP基準の衛生管理の実施が義務化されています。)
HACCP認証とは、『第三者期間がHACCP方式に基づいた衛生管理を実施する企業に対して衛生管理基準を審査するシステム』です。
認証母体は、国、地方公共団体、民間企業など複数あり、大きく「地域HACCP」「業界団体HACCP」「総合衛生管理製造過程」「民間HACCP」の4種類の認証に分けられます。
 
①地方自治体による地域HACCP
地方自治体がHACCPの考え方を取り入れた独自基準を定めて審査を行うHACCP認証です。対象は、主に中小企業です。
 
②業界団体(※1)による業界団体HACCP
各食品業界で構成される業界団体が審査を行うHACCP認証です。各食品業界のスタンダードに合わせて基準を定めているため、界のスタンダードとなる衛生管理手法が反映されているのが特長です。
※1…日本食肉加工協会、全国菓子工業組合連合など
 
③厚生労働省による総合衛生管理製造過程
一部の業種に限定しておこなっていたHACCP認証です。HACCP義務化にともない、2020年6月1日に廃止されました。
 
④民間企業による民間HACCP
民間企業がHACCPの考え方を取り入れた独自基準を定めて審査を行うHACCP認証です。認証機関先の民間企業により基準が異なります。

 

HACCPの導入はどうするの

具体的にHACCPの導入は何をしたらよいのでしょうか?
厚生労働省のHPにおいて各業態に合わせた手引書が公開されていますので、ご紹介いたします。
※厚生労働省リンク:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書
 
また厚生労働省のほか、農林水産省でも関連する情報を掲載しています。
公益社団法人日本食品衛生協会ではHACCP研修会などが開催されており、一般財団法人食品産業センターではHACCP関連情報を検索することができますので合わせてご確認下さい。

 

一般衛生管理の確立

HACCPは単独で機能する方式ではなく、衛生管理手法の一つです。HACCPを効果的に運用するために食品衛生の基本となる『5S活動』『一般衛生管理プログラム(PRP)』を確立させましょう。
 
まず『5S活動』とは食品の安全性を向上させていく上で基本となる活動のことを指し、「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」「清潔(Seiketsu)」「習慣(Shukan)」の頭文字から命名されています。5S活動を通じた一般衛生管理は、HACCPの土台と考えられています。 一般的衛生管理プログラムとは、製造環境および従業員の衛生管理、食品取扱者の教育・訓練、記録管理など、HACCPに基づく衛生管理を行う上で取り組むべき衛生管理プログラムです。

 

7原則12手順

コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)は、HACCP導入ための原則と手順「7原則12手順」を定めています。 HACCPを導入は、この原則に沿って進めます。
この「7原則12手順」については、農林水産省発行の 『HACCP導入のための7原則12手順・食品衛生の基本となる5S活動でとても解りやすく説明されているので、本ブログでの説明は省略させていただきます。 さらに詳しい手順ごとの説明は、厚生労働省より発行されている『食品製造におけるHACCP入門のための手引書』第3章から記載されています。※リンク先手引書は、『容器包装詰加圧加熱殺菌食品 第3版 (平成27年10月)』です。

 

食品安全マネジメントシステムに関する国際規格

HACCP認証は取得義務がありません、また日本では導入されてから比較的新しい方式(2021年8月時点)のため十分なノウハウが蓄積されいない状況のため、審査員のスキル不足や審査基準の設定の甘さから、信用に足る認証かどうかが疑問視されることがあります。 そのような事情から海外展開を視野にいれている企業の場合は、国際標準化機構(ISO)や食品マーケティング協会、食品安全マネジメント協会などが定めるマネジメントシステム認証(国際規格)も考慮されています。

 

4-1 ISO 22000(食品安全)

「JQA(一般財団法人 日本品質保証機構):ISO 22000(食品安全)
 
フードチェーン(食品の生産から消費者に届くまでの全ての段階)に関与する全ての組織において、衛生面を含めた食品の安全を守るための仕組みとして食品安全管理を実践する規格で、ISO9001とHACCPの概念から作成されました。 ISO22000は、ISO9001(品質マネジメントシステム)とHACCP(食品安全管理のガイドライン)にPRP(前提条件プログラム/一般衛生管理プログラム)とO-PRP(オペレーション前提条件プログラム)および回収(リコール)が加わっています。

 

FSSC 22000(食品安全)

JQA(一般財団法人 日本品質保証機構):FSSC 22000(食品安全)
 
FFSC(Foundation for Food Safety Certification)が開発・運営している食品安全システムの認証体系です。 ISO22000の7.2項を追加要求事項で補強された食品安全管理を実勢するためのマネジメントシステム企画です。 PRPの取り組み内容において組織の選択に依る衛生管理レベルのバラつき等の懸念事項に対処するため、PRP部分を詳細に示し、食品安全管理をさらに推進する内容になっています。
FSSC22000は、GFSI(Global Food Safety Initiative)よりベンチマーク規格として承認を受けています。

 

HACCP方式を導入した品質管理を行う

HACCP方式を取り入れた品質管理を行うことで、食品製造の全行程の危害要因を分析し、食の安全を守るための衛生管理体制の実践が容易になります。 HACCP方式を導入する事で、製造工程の段階から衛生管理をすることでより効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことができ、トラブルが発生した場合の原因の追求および対処がしやすいといったメリットがあります。
 
 
 
2018年に食品衛生法が改正され2020年6月に施工されたHACCPは、先にご紹介した厚生労働省、農林水産省、公益社団法人日本食品衛生協会から有益な手引書が公開されており、セミナーも開催を開催している団体もありますので、そういった資料や機会を利用して知識を深めてみてはいかがでしょうか?

 

食品・飲料業界の品質管理で水分測定はどこで活躍するの?


さて、本題です。『食品・飲料業界の品質管理で水分測定はどこで活躍しているのか。』
 
露点計および相対湿度計は、重工業、各種ガス産業、石油化学、電力のみならず、食品製造および飲料製造の分野でも活躍していることは以前の記事でご紹介させていただきました。
詳しくは、こちらの記事”露点とは。露点計の種類と測定原理を簡単に解説, MIL21-05”をご参照ください。
 
 
食品製造工程において露点計や相対湿度計は大きな装置に組み込まれて活動しているため、使用している実感は乏しいかもしれません。
露点計および相対湿度計の主な活動拠点は以下の通りです。
  〇 パンの発酵工程管理
  〇 飴、タブレットなど累乗糖質加工食品の軟化防止
  〇 スナック菓子の火入れ管理(吸湿防止)
  〇 人口植物栽培室の環境管理
  〇 納豆工場のムロ環境管理
  〇 キノコ類の栽培質の環境管理
 
食品の最近検査工程においては、水分活性測定器が使用されています。
水分活性測定器は、水分活性値を指標として食品に含まれている水分とカビおよび菌類、微生物汚染の可能性を調べるために使用されます。
 
ミッシェルジャパン株式会社では、食品製造装置への導入に適した露点計や相対湿度計およびHACCP方式に沿った水分活性測定器を取り扱っています。 食品品目により測定可否が異なるためピンポイントでの製品のご紹介は出来かねます。弊社製品のご導入をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

 

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下記、リンクよりダウンロード可能です。
 
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アプリケーションノートはございません。
ミッシェル社紹介ページ https://www.michell-japan.co.jp/wp/about-us/michell-instruments/
テクノロジー紹介 https://www.michell-japan.co.jp/wp/support/technology/
露点測定のよくある質問 https://www.michell-japan.co.jp/wp/support/faq/

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